FAQ

よくある質問


筋電メディカル 提唱者 森谷敏夫の一問一答


筋電メディカル、特にナノ電極EMSについて、さまざまな企業の方からいろんな質問をよく受けます。
今回はその中で、特に質問が多かったものをとりあげてみました。
答える人は、もちろん、EMS開発の第一人者である京都大学名誉教授の森谷敏夫です。

Q1 ナノ電極技術だと火傷などはおきないのですか?
いろんな会社のEMS機器で「皮膚にシミができた」、「低温やけどした」等の苦情が出ていると聞きましたが教えてください。

やけどの可能性は全くないと思います。以前、ある会社の製品で、火傷問題で発売禁止となったことがありますが、これは安価な金属板の電極を使用しており、腹筋が電気刺激で収縮して形状が変わった時、プレートが皮膚面から離れ、接触面積が小さくなった時、そこに電流が生じて火傷になったと聞いております。今回使用するナノ電極は筋腹がどのように変化しようと皮膚と密着したままで刺激できるので、火傷の心配はほぼ発生しないと考えます。

Q2 身体に電極をつけずにスマートウォッチだけで心臓の測定はどこまでできるのでしょうか?

私たちが一緒に取り組みをしているスマートウォッチは心拍数を正確に計測できるようになっています。自律神経解析は心拍と心拍の時間間隔を時系列で解析することで達成します。心電図の電極を付けて生波形を1KHzでA/D変換すれば心拍と心拍との時間間隔が理論的にはミリ秒単位で計測できます。しかしこれには機材とデータの解析にメモリーとA/D変換器が必要になり4分間もデータを取るとかなりの情報量になります。そこで一般的には心臓が収縮した時に生じる圧脈波(いわゆる脈)のピークと次のピークとの時間差を連続して記憶しておけば自律神経の解析が可能になります。医師が使っているホルター心電図(24時間解析)ではデータが膨大になるので256Hzで心電図をサンプリングしており、脈波のピーク計測も同じ位の精度で記録できると思います。

Q3 スマートウォッチによってナノ電極EMS(下半身の利用を前提としたとき)の効果を測定することは可能でしょうか?また、どういった内容のデータを取得できるでしょう。

トレーニング効果、例えば筋肥大効果を検証するにはMRIや超音波装置が必要になります。しかし、一般的な体力(呼吸循環系、筋持久力など)は安静時や同じ運動(例えば同じ速度の歩行)での心拍数を計測すればこれらの体力が向上してきたか簡単に判断できます。例えばEMSで筋力や筋持久力が向上してくると同じ運動でも心拍数が少なくなります。これは筋肉のエネルギー工場であるミトコンドリアという細胞が増えてくると同じ血液の循環量でもより多くのエネルギーを合成できるからです。そうなると以前より少ない心拍数(血液循環量)でも運動が可能になり、それだけ心臓にも負担がかからなくなり運動中の血圧も高くならなくなります。スマートウォッチは心拍数だけでなく血液の酸素濃度、血糖値もわかるので、EMSでトレーニングすれば食後の血糖値の上昇も抑えられることになります。また、歩数計の機能だけでなく、歩幅も計測できると思いますので、下半身の筋肉が強くなれば歩行速度や歩幅も大きくなるので効果が「見える化」できます。

Q4 EMSは何分の使用・どのくらいの期間(何日おき)の使用で効果が現れるのでしょうか?使用者本人で自覚できるような効果、または測定器などで明確になる効果を教えてください。

ヒト試験の結果ではEMSを20分(主に筋肥大)もしくは30~40分(糖・脂質代謝、脳由来神経栄養因子)週5日、8週間で統計学的にも有意な差が実現できます。これらの臨床試験では超音波装置での筋厚、筋力測定装置による各筋群の最大筋力測定、歩行速度、QOL等が大幅に改善したことを国際誌の論文で報告しました。また、採血により得られた血糖値の有意な減少や記憶や認知機能を向上させる由来栄養因子の遺伝子が有意に増加して、体脂肪の減少と筋肉の増量も有意に起こります。
ただ、これらの検査や測定は臨床試験で行うもので、一般的には自覚QOL、歩行速度、階段の昇り降り、などを介して効果を自覚していただくのが妥当だと思います。 ちなみに、現在いろいろなところで販売されているEMS機器は、一般的には約20分間の使用を原則としていますが、学術的には筋肉量アップには正味5分間の刺激で十分だと思っています。 なぜかというと、ウエイトトレーニングでは重い負荷を10回3セット使ってトレーニングするのが原則です。この場合、1回重量物を持ち上げた時に筋肉が活動している時間は長くて2秒程度です。10回やって20秒、3セットやってもトータルで60秒。つまり筋トレは筋肉を1分間強く刺激すれば筋肥大が起こせるのです。EMSは原理的には、もっとも太く強い筋線維を選択的に刺激できます。なぜなら、この筋線維は太い神経によって支配されており、EMSのように皮膚表面から内部に電流を流すとオームの法則により、太い神経は最も電気抵抗が小さいので、これらの筋線維が活動することになります。これが高齢者にも筋トレ効果が享受できる理由なのです。 刺激強度や年齢、その方の体力などによって効果の出方が異なりますが、基本的には運動不足の人ほど効果が出やすいことは報告されています。多くの研究で6~8週間で顕著な効果が報告されています。使用頻度も段階的に増やしていくのが一般的です。

Q5 EMS使用時は、やはりアドバイザーが付いていたほうがいいのでしょうか。

一般に市販されている低周波治療器と同じ家電品と同じなので、ガイドブックを見て使用すれば何ら問題はないと思います。

Q6 人の年齢や体力により強度、周波数等変える必要があるのでしょうか?またそこに応じてこれ以上の強度・周波数・時間を使用するのは危険、という限度のようなものがあるのでしょうか。

基本的には老若男女、筋肉は太い細いはあってもほぼ同じ構造ですので、筋肥大では最適な20Hz前後、エネルギー代謝を亢進するには4Hzがベストです。京大時代に、森谷が数百名の実験や臨床で使っていたEMSでの有害事象はゼロです!筋トレと異なり筋肉に重い外部負荷をかけて収縮させるわけではなく、「力こぶ」を作るような刺激なので関節や筋肉を傷めることは一切ありません。

Q7 ナノシートを貼る位置の精度はどれくらいでしょうか。素人が適当な場所に貼っても効果はあるのでしょうか。

筋肉はアバウトなものなので、心配する必要はありません。

Q8 EMS機器(電源等)の定期的なメンテナンスは必要でしょうか?不特定多数が使用する場合です。

EMS機器は故障や劣化する部分はあまりないと考えますので、定期的なメンテはあまり必要がないと考えております。
ナノ電極技術は全てディスポーザブルなので問題はありません。

Q9 筋肉をつくると認知症に効果が見込まれるとありますが、具体的にどのようなことなのでしょうか。

最近の研究では、運動トレーニングで筋肉が活動している時に、筋肉から遊離したイリシンの作用でヒトの認知機能や記憶を司り海馬内に「脳由来神経栄養因子(Brain Derived Neurotrophic Factor: BDNF)の遺伝子が発現することが明らかにされています。人や動物実験でこの遺伝子は海馬に新しい神経細胞を増殖したり、学習・記憶機能を亢進させることが報告されています。それ以外にも認知機能に寄与するインスリン様成長因子(IGF-1)が筋トレで増加することが報告されており、アルツハイマー型認知症を発症させるβアミロイドと逆相関することが明らかになっています。つまり、筋トレはBDNFやIGF-1を増加させることによって認知機能の維持改善やアルツハイマー型認知症の予防・改善につながることが臨床試験でも明らかになっています。

Q10 糖尿病血糖コントロールと筋肉の関係を教えてください。

筋肉は最も大量の糖質と脂肪を消費する“臓器”です。
我々が摂取する糖質の70%は筋肉で、20%が脳で消費され、残りの10%を心臓、腎臓、その他の臓器で消費します。 特に、糖尿病は筋肉の代謝疾患で、一日中、運動せずに座ったままだと筋肉が糖を十分消費しきれず、余った糖質は膵臓を酷使してインスリンを分泌し、糖代謝を促進しようとします。運動不足の方は来る日も来る日も運動しないので余剰の糖質は上述のメカニズムで膵臓を酷使し続け、やがて10年から20年かけて糖尿病が発症するのです。歩くだけで血糖は安静よりも3倍も消費されます。 EMSでの電気刺激なら速筋(糖質と水が結合したグリコーゲンを大量に貯蔵)を刺激するのでグリコーゲンが分解され、その分解されたグリコーゲンは運動後に血中のブドウ糖を取り込んで再合成されるので、運動後の血糖値が抑制されるのです。 電気刺激や筋トレでは強度にもよりますが安静時の10倍以上も糖代謝が起こります。